写真好きの人が動画を撮ろうと思った場合、レンズはたくさん持っているし、画角に対する知識も深いので画作りに対して困ることはありません。
しかし音声の収録については門外のため、カメラ付属のマイクでお茶を濁している方も多いのではないでしょうか。
しかしながらカメラ付属のマイクはマイクに比べると音がチープだし、風切り音などもモロに入ってしまいます。僕もずっと我慢して使っていたんですが、せっかく撮るならもっといい音で!と思い、今回RODEの「VideoMicPro+」を購入したのでレビューしてみます!
外観
それでは外観を見ていきます。(細かい機能等については後ほどご紹介します。)
内容物は「本体」、「リチウムイオンバッテリー」、「USBケーブル」です。
操作系は全て後部にまとめられています。電源のON/OFF、ハイパスフィルター、高周波ブースト、ゲインブースト、その他各種LED、そして3.5mmジャックですね。
サイド。microUSB接続ジャックがあり、バッテリーを入れたまま充電できます。
ただし別売りで結構高いです。
作りはすごく良いです。
カメラに取り付けてみた
実際に5D Mark IVに取り付けてみました。
付属の配線はストレートタイプ。5D4の場合は少し長いのでカールコードタイプにするか、もう少し短ものに換えても良いかもしれません。
VMP+の特徴
次は具体的にVideoMicPro+(以下VMP+)の特徴を挙げておきます。
- カメラの電源に応じてマイクのON/OFFを切り替える
- ハイパスフィルター
- 高周波数域ブースト
- ゲインブースト
- セーフティチャネル
電源のON/OFF
やはり最大の特徴は、VMP+から搭載された自動ON/OFFの機能です。
これはカメラの電源がONになれば自動的にマイクもON、カメラの電源を切ればマイクもOFFになるという機能ですね。
これが非常に便利!録音時に電源を入れ忘れて録れてなかった!という最悪の自体を避けることができます。
ハイパスフィルター・高周波数域ブースト
続いて音質関係の機能。これは録音の段階で音質を改善しておこうという機能です。2つ。
- ハイパスフィルターは、空調などの低周波ノイズが多い場合にノイズをカットしてくれる機能(75Hz以下と100Hz以下を選択可)。
- 高周波数域ブーストは高音域をブーストして明瞭感をアップさせる機能。
視覚的には周波数の特性グラフが分かりやすいです。
グレーが75Hz以下カット、黄色が100Hz以下カット、青が高周波数域ブーストですね。明らかな違いがあります。
ただ、これらの機能は高機能な動画編集ソフトがあれば編集で何とでもなるので、使用するかしないかはその辺りの兼ね合いも含めて考えると良いでしょう。
ゲインブースト
ゲインブーストもあるのは意外と助かるシーンもあります。
というのも、小さな音を録るにあたって「マイクの設定で音量を上げる」or「編集で上げる」場合、どうしてもサーッというホワイトノイズが目立ってしまいます。
しかしマイク側でブーストしておけばそれ避けることが出来るので、状況に応じて忘れずに設定しておきたいところです。
セーフティチャネル
こちらは突発的に大きな音が鳴った場合に備えて、LとRでそれぞれ音量を変えてカメラに送る機能です。
当然左右で音量差のある音が記録されますから、編集は必須です。
が、音割れを恐れて音量の自動調節を使う必要もなくなるし、必要以上にマージンを取らなくて良くなるので、むしろONにしておいた方が編集が楽になるかもしれませんね。
バッテリー
バッテリーは、付属のリチウムイオン充電バッテリーの他、USBモバイルバッテリー、単3電池の3種類が使えます。
リチウムイオンバッテリーの充電はmicroUSBで行います。充電中はLEDが点灯し、
- 青の遅い点滅:充電中
- 青の速い点滅:75%充電済み
- 青の点灯:100%充電済み
充電状況を判断できます。
また、使用中はLEDの色でバッテリーの状態を知ることができます。
- 青の点灯:バッテリー使用中
- 緑の点灯:単3電池使用中
- 赤の点灯:残り10時間
- 赤の遅い点滅:残り2時間
- 赤の速い点滅:残り30分
使用してみて非常に良かったのは、驚くほどバッテリーの保ちが良いこと!赤色に点灯してもあと10時間使えるわけです。
更に市販の単3電池も使用できるとなれば、バッテリー切れで困ることはまず無いでしょう。
実際の録音ファイル
それでは実際の録音ファイルをアップしたのでご覧ください!
お家の中で録音
5D4+EF85mm F1.4L IS USMでアコギなんぞ録ってみました。あえてAF駆動音が大きいレンズで、AF駆動速度は最速(駆動音が大きい設定)にしています。ハイパスフィルター等は全てOFFです。
いかがでしょうか。僕個人の感想としては、まずカメラ内蔵マイクの安っぽい音と比べると全然違うというのは当然ですが、
- VMP+の方が中低音が豊かで高音は控えめ
- 内蔵マイクは低音が細くて高音は強め
- AF駆動音はVMP+の方が少し小さい程度でどちらも拾う
- 脚でリズムを取ってる音はVMP+の方が拾う
- エアコンの音もVMP+の方が拾う(ただしハイパスフィルターはOFF)
こんな感じです。
音質については当然、VMP+の方が「豊か」で「厚みがある」という印象を受けますが、聞きようによっては若干コモって聞こえるかもしれません。(そういう場合はお好みに合わせてハイブーストを使うと良いでしょう。)
あと、AF駆動音については、まぁ駆動音が比較的大きいレンズであることを考えたとしても、内蔵マイクとそれほど変わらないレベルで拾っているのは少々残念なところです。
AF駆動音が気になる場合は、マイクを別のライトスタンド等に付けて録っても良いかなと思っています。
指向特性を見ていただければ分かると思いますが、指向性は低いので、環境音もきっちり拾います。
なのでAF駆動音対策にこのマイクを購入した場合は期待する効果は絶対に得られません。「絶対に特定の音以外録りたくないんだ!!」という場合はもっと指向性の高いガンマイクタイプが良いでしょう。
個人的には指向性が選べればもっと使いやすかったかなと思いますけどね。
お家の外で大きな音を録音
作例ってほどではないですが、787Bの走行動画を録ってきたので載せてみます。個人的に世界一かっこいいエンジン音の車だと思っているので、ぜひ見ていただければ幸いです。
冬の岡山国際サーキットって結構風が強いんで、普通に撮ると風の音がボフボフ入ってしまいます。ウィンドジャマーをつけて行って正解でした。
ただ、音は綺麗に録れたんですが、5D4とEF100-400mmで動画を撮るのは無理がありました。手ブレが酷いです。せめて一脚を使えば良かったですね。
なお、このときは録音する対象が大音量だったため、手ブレ補正やAF駆動音は一切入っていませんでした。
感想
最後にRODEのVMP+感想を書いてみようと思います。
安心して使えるクオリティ
その名の通りプロ用なので、確実に安心して録音するための機能が非常に充実している印象を受けました。特にワンマンで収録するカメラマン向けという感じ。
そのため価格は一般的なものより少々高めですが、現場での失敗リスクを大きく減らせると思います。特にバッテリー周りの工夫は素晴らしいです。
音質もカメラ内蔵とは全く違う
今回の比較動画では分かりにくかったので申し訳でないですが、音質についても、ワンタッチで取り付けられ、屋外でも気兼ねなく使えるマイクとしては、かなり高性能だと思います。
せっかく一眼の高画質で動画を撮るなら、このくらいの音質は欲しいなと思います。
今後も動画を撮るときは常にこのマイクを使って撮ると思うので、また良いサンプルが録れたら追加でアップしようと思います。
ノイズを拾うのはオンマイクなので仕方がない
ただ、やはり手間ひまかけて別録りするのに比べると、カメラから発するノイズを拾うという点では劣るように思います。AF駆動音やレンズをズーミングした音などをどうしても拾ってしまうので、自分でマイクの設置場所などを考える必要があると感じます。
それから指向性もそれほど高くないので、環境音も入ってしまいます。これについては状況によって良い場合も悪い場合もあると思いますので、適宜使用状況に合わせて使うしかないですね。
まとめ
ということで長くなりましたが、以上になります。
カメラ用のマイクもピンきりで、安いものなら千円程度から十万円オーバーまでありますし、用途も様々です。
その点VMP+は全てをこなす万能というわけではないですが、汎用性が高く、また機能性も高いという点で多くのビデオグラファーに合うマイクになるんじゃないかと思います。
以上このブログが、失敗なく音質を向上させたい!という方の参考になれば幸いです!
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