往年の銘機「IV Sb改」で楽しむフィルム写真。

ボディ

ついにあの銘機、キヤノン「IV Sb改」を手に入れました!

Canon IV Sb改

以前からヤフオクで探ってたんですが、かなり状態が良い個体が出たので思い切って突っ込みました!

嬉しいのでガッツリ書きます!

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IV Sb改

今回購入したのはキヤノン IV Sb改。(4Sb改とか4Sb2と表記されることもあります。)

何せ古い機種なので資料は少ないのですが、キヤノンのミュージアムに詳細が記載されています。以下引用。

IV Sb型の後継機種にふさわしい最高級の品位と精密感を備えていた。
シャッターのレリーズ後にも、使用しているシャッタースピード値がわかる中軸指標付きのシャッターダイアルとなり、シャッタースピードの段数がほぼ倍数系列化して使いやすくなった。そして、巻き上げノブ基部にはフィルムの装填枚数が記録できる手動セットによるメモ表地板が付いた。
先のIV型に始まるキヤノンの高級35mmカメラは、IV Sb型、IV Sb改型で頂点に達し、キヤノンカメラ(株)の黄金期を迎え、これらは、その前年に登場してきたニコンS型と共に日本のカメラ工業力を世に問う垂涎の最高級機であった。

IV Sb改は、1934年にカンノンの試作機が出来てから30年。今から65年前、1954年3月に発売されたこのカメラは、バルナック・ライカ型のカメラとしてはほぼ最終形態です。

時代背景

この頃のキヤノンを取り巻くカメラ業界について少し。

1933年に吉田五郎さんらがキヤノンの前身「精機光学研究所」を設立して以来、「ライカに追いつけ追い越せ」で製造を続け、その技術力は1950年台のIV Sb、そして改良型のIV Sb改で「ライカに匹敵した」とも言われるまでに成長していました。

しかし、ちょうど同じ1954年にライカが衝撃的なカメラ「M3」を発表します。
バルナック型とは全く違う完成度・性能の高いM3を前に、多くの国内企業がライカの技術の高さを知り、レンジファインダー機でライカに打ち勝つのは不可能だと知ります。

LeicaM3
当時業界に衝撃を与えたLeica M3。Wikipediaより引用

その結果国内のカメラ製造者たちは新たな道を模索し、時代は一眼レフへと移り変わっていくわけです。

IV Sb改はまさに世界のカメラ業界が大きな変革の時を迎えようとしていた時代に生まれたと言えるでしょう。

時代背景 その2

カメラの歴史だけ書いてもイメージしづらいので、1954年(昭和29年)に起きた事象をWikipediaで調べてみました。

  • ビキニ環礁
  • マリリン・モンロー来日
  • 初の缶ジュース発売
  • 自衛隊発足
  • 映画「ゴジラ」公開

こういう時代なんです。30代の僕からすると全て「教科書の中」の出来事。この激動の時代に日本人が作り上げたカメラだと考えるとまた感慨深いものがあります。

なお、この年の大卒国家公務員の月給が8,700円だそうで、その時代にF1.5レンズ付きで85,000円、F1.8レンズ付きで74,500円で発売されたわけですから、庶民が簡単に手を出せるような逸品では無かったことが容易に想像出来ます。(現代で言えば200万円オーバー…!)

技術的にも金額的にも、まさに”国産カメラの最高峰“として世に送り出されたカメラだったと言えるでしょう。

外観

ちょっと気合が入りすぎて前置きが長くなったので、ここからはカメラを見ていきます!

極上美品の外観を撮影してみたのでご覧ください。(こちらも同じく気合いが入っているので黒バック、ストロボ2灯で撮影!)

Canon IV Sb改

この写真で付いているレンズはIV Sb改の標準レンズではなく、もう少し後に発売された50mm F1.4 II(1959年8月発売)です。マウントはライカのL39。

今回はレンズまで予算が回りませんでしたが、標準のレンズは「Serenar 50mm」、鏡筒もシルバーで凄くカッコいいんです。なかなか状態の良い個体が出ないんですが、いつかはそっちも手に入れたいところです。

Serenar 50mm F1.5 - キヤノンカメラミュージアム
キヤノンのSレンズ、50-85mm、Serenar 50mm F1.5をご紹介しています。

2019年10月追記

Serinar 50mm F1.8が手に入りました。かっちょいいいいいぃ~木目壁紙作例

レンズを外して汎用品のボディキャップを付けるとこんな感じになります。
IV Sb改

正面。
IV Sb改の正面
マウント左上にあるダイヤルは低速時のシャッタースピードダイヤルです。

上面と各部名称。
IV Sb改の各部名称
左から、レンジビューファインダー変倍レバー(3段階)、フィルム巻き戻しノブ、キヤノンロゴ、アクセサリーシュー、高速シャッターダイヤル、巻き戻しレバー、シャッター、フィルム巻き上げノブです。

ダイヤル部のアップ。
IV Sb改ダイヤル部
フィルム巻き上げノブの下にはカウンターのメモリがついており、現在フィルム何枚目なのか分かるようになっています。
またIV Sbの特徴として、何枚撮りのフィルムを入れているかを記憶しておく機能があります。(ノブ下の歯車状のダイヤル。この写真だと24のところに赤いマークがセットされているので、24枚撮りフィルムを入れているということが分かる。)

背面。
IV Sb改背面

IV Sb改ファインダー
レンジファインダー機なので二重像を合致させる方法でピントを合わせます。
ファインダーはかなり小さいですが、3段階で倍率を変えられるので比較的合わせやすい。
またファインダー内の二重像も、キヤノネットに比べると非常にクッキリして見やすいです。

基本的に画角は、Fで50mm、1×で100mm、1.5×で135mmを想定しているようです。
例えば50mmを使う場合、1.5×で拡大してピントを合わせ、その後Fで構図を決めるという使い方もできるそう。

底面。
IV Sb改底面
三脚穴は中心ではなくシャッターボタン側に寄っています。

以上が外観です。本当に芸術的とも言えるカメラだと思います。

使い方

バルナック型カメラの使い方なぞ普通分からんでしょうから、色んなサイトさんを参考に調べたものをまとめてみます。

フィルムの装填

まず裏蓋を開け、スプールを取り出します。

IV Sb改のフィルム装填方法

スプールにはフィルムを挟む隙間があるので、そこに出したフィルムの先端をしっかりと差し込みます。
IV Sb改のフィルム装填方法

そんでここがポイント!

フィルム本体(=パトローネ)からフィルムを引っ張り出し、およそカメラと同じ長さにします。約10cm。
IV Sb改フィルム装填方法
そしたら、上写真のようにフィルムを切ります。(昔と今ではフィルムの形が違うようなので、そのままだと入りません!)

そしてそのまま平行に入れる。
IV Sb改フィルム装填方法

そのまま奥までしっかりと入れます。
このとき、ちょっと見えづらいのですが、カメラ内部に歯車的なもの(スプロケット)があるので、そこにフィルムの穴(パーフォレーション)を噛ませます。
IV Sb改スプロケット
画像中央の部分。上手く噛まない場合は巻き戻しノブを動かしてみると良いでしょう。

しっかり噛んだら蓋を閉めます。
IV Sb改底面

そしたらフィルムの巻き上げ。
IV Sb改のA
巻き戻しレバー(シャッターボダンの上の小さいレバー)を「A」にし、フィルム巻き上げノブ(画像一番右のノブ)を回します。(多分1回転くらいで回らなくなる。)そして、空シャッターを切る。

そしたらもう1回巻き上げノブを回すんですが、2回目は空シャッターを切る前に、カウンターのポッチに指を掛けて回し、値を0にしておきます。
IV Sb改カウンターのポッチ

そして最後に空シャッターを切って、もう一度巻き上げれば準備完了!いよいよ撮影が可能になります!

フィルムの取り出し方

フィルムが一本終わり、フィルムを取り出す手順です。

今度はレバーを「R」にし、
IV Sb改のR

フィルム巻き戻しノブを持ち上げ、矢印方向に回す。
IV Sb改フィルム取り出し方法
ノブが軽くなるまで回したら、裏蓋を開けてフィルムを取り出し、現像に出しましょう!

その他細かい操作方法

シャッタスピードの変更は、シャッタースピードダイヤルを持ち上げながら回す。
IV Sb改のシャッタースピードは持ち上げて回す
(すんません、持ち上げた写真が撮れませんでした・・・。)

スローシャッターは、まず上面のシャッターダイヤルを赤字の「1-30」の部分に合わせたあと、前面のダイヤルで調整します。
IV Sb改の正面
スローシャッターのダイヤルは、小さなレバーを押しながら回して下さい。

ISO感度の設定(と言っても露出は全てマニュアルなので、メモになる程度です。)は、巻き上げノブの中心を指で押さえながら回すと数値が変わります。

露出の調整は、露出計を別に用意して測る必要があります。
が、今どきはスマホアプリで十分でOKでしょう。

作例

それではようやく作例です。

本当は時代背景を考慮して、モノクロフィルムで撮影したかったんですが、モノクロだと現像に時間が掛かるため、富士フイルムの「SUPERIA PREMIUM400」と、Kodakの「PORTRA400」で撮りました。

これだけ大々的に書いた割に稚拙な作例しかございませんが、雰囲気だけでも掴んでいただけると幸いです。

SUPERIA PREMIUM 400

まずPREMIUM400で広島県竹原の町並み保存地区を歩いてみました。連続ドラマ小説「マッサン」の舞台、そしてJALのCMで嵐が訪れた街ですね。

まず、今回の写真の中で一番綺麗に撮れていたもの。明るかったのでかなり絞っていますが、思ってた以上にキレッキレでした。
IV Sb改の作例

縦位置。軽くて小さいので縦位置撮影がやりやすいです。
IV Sb改の作例

日差しが強いのにレンズフードが無いので、物凄いフレアが出た写真がありました。
IV Sb改の作例

嵐が登ってた階段。こっちも。
IV Sb改の作例
最初は光が漏れて感光したか?と思ったんですが、どうもレンズ起因っぽいです。

古い家並みが今も息づく⇧町並み保存地区。
IV Sb改の作例

PORTRA400

続いてKODAKのPORTRA400。こちらは尾道周辺で撮りました。

まず尾道駅近くの踏切。
IV Sb改の作例

こちらは尾道郊外に置いているSLに住む猫。
IV Sb改の作例

同猫。こういうシーンだと悩むのが露出設定。大体日の当たる場所と日陰で露出を測っておいて、その2つの設定を使い分ける感じで撮りました。
IV Sb改の作例

鳩。たしかF2.8前後で撮ったと思うんですけど、60年前のオールドレンズとは思えないほど良い描写です。
IV Sb改の作例

よく見るアングルからよく見る写真。
IV Sb改の作例

逆光ではフレアやゴーストが出ます。まぁこれはカメラではなくレンズの性能なわけですが。
IV Sb改の作例

ついでにレンズの面でいうと、アウトフォーカス部分でバブルボケが出ます。めっちゃ良い…。
IV Sb改の作例

強い逆光の写真。こちらも最初はフィルムが感光したのかと思っていたんですけど、よく見たらレンズフレアとゴーストでした。
IV Sb改の作例
現代のカメラやレンズではなかなかここまでのことにはなりませんから、最初は何が起こったんだと思いました。
汎用品のレンズフードを用意してもいいかなぁと思いますね。

最後はSLの窓から撮ったF1.4開放の写真。やっぱりPORTRAは光の選び方次第で凄く良い画になりますね。
IV Sb改の作例
多分メカメカしさをだしたくてバルブ付近にピントを合わせたと思うんですけど、窓枠に合わせても良かったかなぁ。

ってなことで、以上作例でした。

感想

というわけで、長々と書きましたが、キヤノン往年の銘機「IV Sb改」を使ってみたよ、という記事でした。

最後にザッと感想を書いて終わろうと思います。

露出計なしは戸惑うけど案外ちゃんと撮れる

まず、僕は露出計の内蔵されていないカメラを使うこと自体が初めてだったので、その点については正直結構戸惑いました。
毎回スマホやデジイチの露出計を使って測りながら撮るわけですが、露出を追い込みたい時に、「この設定だ!」という自信を持てないままシャッターを切るのが結構ツラい。

ただ、現像に出してみると、やっぱりネガフィルムなので少々露出が狂ってても大丈夫なんですよね。特に露出オーバーの場合なら2段分くらい余裕で戻ってくるので、迷った場合は少しオーバー気味に撮っておいたんですが、割と何とかなっていました。

フィルム2本分撮りましたが、露出が大きく狂った写真はほとんどなかったのでまぁ自分にしては合格点かなと思います。

ファインダーの二重像が見やすい

僕はレンジファインダーのキヤノネットG-IIIなどを持っているのですが、それに比べてこのIV Sb改の二重像は非常に見えやすく、ピントを合わせやすいと感じました。
キヤノネットだと2重像が薄いので、環境によってはピントが合ってるのか分かりづらいんですよね。

ファインダー自体は凄く狭いんですが、倍率も変更できるし、思ってた以上に撮りやすいファインダーでした。

とか言いながら、ピントが思いっきりズレた写真もありましたがw

IV Sb改の作例(ピンぼけ)

結局、ただただ楽しい

そして結論はここに行き着くわけです。

歴史的なカメラを持って歩くだけで気分が高揚し、それを鎮めるかのようにマニュアルでピントと露出を合わせ、丁寧にシャッターを切る。
控えめに響く小気味良いシャッター音には現代のカメラにはない上品さがあります。

ここ数年は、ゆっくりと丁寧に撮る感覚が好きなのもあって、1枚1枚がすごく楽しいんです。

もちろん、デジタルで露出とピントを追い込んで思い通りの1枚を撮ったときの感覚も凄く楽しいのですけどね。このカメラにはそれとはまた違う趣があるなぁという感じ。

もう古いカメラなのでなかなかこんな個体が手に入ることも少ないですが、もしチャンスがあれば、手にとって遊んでみて欲しいなぁと思います。
きっと他のカメラとは少し違う感覚を与えてくれるでしょう。

ボディ
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