デジイチとマクロレンズで自宅フィルムスキャン!

撮影方法

Twitter(@te_pix)で少し騒いでいましたが、最近ネガフィルムのスキャン方法に頭を悩ませています。

僕はいつもカメラのキタムラで現像とスキャンをお願いしているのだけど、色と明るさに関して自動補正が働いていることが気になるようになりました。
例えばローキーで撮った写真も、こんな風にスキャンの段階で持ち上げられちゃって雰囲気が無くなったり。


因みにほぼ同じ状況でデジタルで撮るとこんな感じ。

こんなふうに空に露出を合わせ、他をシルエットにしたかったショットなんです。
こういうのを見ると、やっぱり撮影後に他人の手が入ってしまうことに違和感を覚えてしまうんですよね。

そこで、自分でスキャンしようと思い立ち、EPSONの中級スキャナー「GT-X830」を購入しました。


購入したGT-X830。画像はエプソンのHPより引用。

が、これがまたどうやっても思い描いた色が出ないし、何よりちゃんと解像せずボヤけた写真になってしまう。3万円近く出して大きいスキャナー買ったのに全くの期待外れでした。

多分最上位機種の「GT-X980」を買えばその辺の悩みも解消される(サンプルを見る限り高解像)かもしれませんが、6万円くらいする。ちょっと無理。

というわけで、今回は最もオーソドックスだけど画質に期待が持てる方法、デジカメでのスキャンを試すことにしました。

これがなかなか良いんです!

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デジカメスキャン

今回のデジカメスキャン、話としては簡単で、単にマクロレンズを付けたデジイチでフィルムを直接撮っちゃえ!という発想です。

ただ、フィルムは普通の被写体とは違って透過原稿ですので、後ろからライティングをして透過光を撮影する必要があります。
またネガフィルムなので、撮影後にネガポジ反転させる必要もあります。

ちょっとこの辺が引っかかるポイントかなぁと思うので、その過程をなるべく詳しく書いてみます。
すでにスキャナーで痛い出費をかましてしまったので、手持ちの機材を使ってなるべくリーズナブルに行きますよー!

道具

用意した道具は以下の通りです。

  • レンズ交換式カメラ(5D Mark IV)
  • マクロレンズ(EF100mm F2.8L マクロ IS USM)
  • 三脚
  • 厚紙
  • 乳白色のアクリル
  • 光源(高演色LEDやストロボなど)
  • クランプ3つ
  • RAW現像ソフト(今回はLightroom)

カメラはレンズ交換式であれば、フルサイズでもAPS-Cでもマイクロフォーサーズでもミラーレスでも何でもOKです。三脚はエレベーターがある方が微調整しやすくて良いでしょう。

レンズはマクロレンズが一番良いですが、無ければエクステンションチューブやクローズアップフィルタでも良いです。絞って撮るので安いレンズでも画質面は大丈夫。
APS-Cカメラを使う場合はダブルズームキットの望遠レンズにKenkoのACクローズアップレンズNo.5を取り付けて撮るのが安価でオススメです。

アクリルはホームセンターで、クランプは100均で購入、厚紙は会社にあったお菓子の箱を使用しました。厚紙にはフィルムのサイズより一回り大きい約28mm×40mmくらいの穴を開けています。

光源について僕はストロボを使用しましたが、LED電球を使う場合、できれば高演色タイプのものをオススメします。
高演色タイプってのは普通のLEDより色が綺麗に出るよ、というタイプのLEDです。詳しくはこちらをご覧ください。

※追記
後日ニコンのES-2が発売されたので、この読み取りの工程がずいぶんと楽になりました!

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実際の流れ

お手軽ライトボックスの作成

ライトボックスと呼ぶほどのものではないのですが、まずフィルムを保持する台を作ります。

用意するのは乳白色のアクリルと、四角い穴の空いた型紙。(同じ写真で手抜き。)

これでフィルムを挟んだらクランプで留め、後ろから高演色白色LEDを当ててやれば、立派なライトボックスの出来上がり!

ストロボを使う場合は光のムラを無くすため、アクリルを1センチ後ろにもう1枚追加するとより良い結果が得られます。

この簡易ライトボックスの設置で大切なのは、フィルムとカメラの光軸がキッチリ垂直になるようにセットすること。ズレていると写真が台形になったりピントが合わなくなったりするので注意が必要です。

撮影

あとは三脚に乗せて撮るだけです。

設定としては、

  • ISO:100
  • 絞り:F8~11
  • 記録形式:RAW
  • レリーズ:ケーブルか2秒タイマー

なるべくフィルムが大きく写るギリギリの所まで近づいたら、ピントを合わせて1枚ずつ撮影していきます。
後ほどネガポジ反転しますので、この段階で明るくスキャンした写真は暗く、暗くスキャンした写真は明るくなります。

基準として、ヒストグラムの山が凡そ真ん中にある状態にしましょう。(これ結構大切!)

こんな感じの写真が撮れます。(回りの黒は厚紙の黒。)

編集

撮ったらPCに送って編集です!

色んなソフトで出来るのですが、今回はせっかくRAWで撮ったのでLightroomでやります。Lightroomが無い場合はメーカー純正のRAW現像ソフト(DPPなど)でカラーバランスを取った後、jpegやTIFFに変換し、GIMPなどのフリーソフトで同じ作業を行うことが出来ます。

ベースカラーでホワイトバランスを取る

ネガポジ反転する前に、必ずやるべき操作があって、それがホワイトバランスをベースカラーで取ることです。

Lightroomで画像を開いたら、スポイトツールでフィルムのベース部分を選択します。

するとベース色が取り除かれた色になります。

これをやっておかないとネガポジ反転の際に少々不都合がでますのでお忘れなく。

R・G・B別にそれぞれネガポジ反転

今回はここからの作業がポイントです!

ネガポジ反転する方法は色々あるんですが、今回は「トーンカーブ」を使用します。

普通、ネガポジ反転ではトーンカーブをただ反転させるだけなんですが、それだと綺麗な色を得ることが出来ません。そこで、R・G・Bそれぞれのチャンネルを個別に反転させます!

実際にやってみます。

まずトーンカーブのチャンネルをレッドにします。

そしたらトーンカーブの左下と右上を、それぞれ上下反対に移動させます。
赤丸部分にマウスカーソルを重ねるとカーソルが上下の矢印↕になるので、その状態で、

それぞれ上下に動かすとこうなります。

写真の色がグワシッ!と変わると思いますが気にしないでください。

この作業をRGB全てに施します。

しかしこれだけだとまだ微妙な結果しか得られませんので、続けてもう少しトーンカーブを弄ります。

まず下図のように、薄っすらと見えているヒストグラムの山の幅を見ます。この場合だと山が2つありますが、大体赤枠で囲った範囲くらいにありますよね。

そしたら、このヒストグラムの山の幅+αくらいがトーンカーブの幅になるようにカーブを調整します。

こんな感じです。

分かりますかね?赤い山が2つあって、その幅より少しだけ広めの範囲でトーンカーブの傾きを急にするイメージです。

同様に、グリーンとブルーも同じ作業をします。それぞれヒストグラムの山の位置が違うと思うので、各色適宜調整して下さい。

 

【2018年3月追記】

何度もやってるうちに、この「+α」の加減がだいぶ分かってきたので追記します。

例えばこういうヒストグラムがあったとします。(ブルーチャンネルで、既に上下は反転した図です。)

この図の、ヒストグラムと、グラフの下から1/4の線とが交わる部分を見つけます。下図では赤丸の部分です。

トーンカーブを調整して、左側の赤丸の真上が92.5、右側の赤丸の真下が7.5になるように調整します。

これでOK。Lightroomは数値が出るので、このように考えれば全ての写真において定量的に調整することが出来ます。

なお、ここでは92.5と7.5という数値を使いましたが、お好みで調整して下さい。
大切なのは、「100-92.5=7.5」という感じで、どちらも上下から同じ距離になっていることです。
(他には95と5、90と10なども可能。)

この作業が3色完了すると、ほぼほぼ良い感じの写真になっていると思います。

あとはスポット修正ツールでホコリを消したり、傾きを調整したり、余白をトリミングしたりして完成です!

微調整①~そのままトーンカーブで調整~

ここまでの作業で納得の結果が得られなかった場合、更に微調整する方法を2つご紹介しておきます。

まずは先程の作業のままトーンカーブを使う方法。この方法であれば、明るさ・コントラスト・色合い等を自在にコントロール出来るので、僕はこの方法でやっています。

例えばこの写真。

これはこれで綺麗なんですが、空がかなり青っぽくなってしまいました。実際にはもっと夕焼け気味の黄色っぽい色でした。

ということは、「明るい部分の青が強い」ということなので、「ブルーチャンネルのハイライト側を少し抑えれば良いよね」ということになります。

実際にブルーのトーンカーブのハイライト側(反転しているので左側です)を少し下げてやります。

すると狙ったとおり、空の青みが少し減ります。

このように、トーンカーブを使える人であれば、ハイライト側・ロー側の色味、明るさ、更には全体のコントラストなどを自在にコントロール出来るので、非常に作業が早いです。

通常のトーンカーブとは左右が反転していますが、それほど難なく調整できるでしょう。

微調整②~ツールパレットを使う方法~

一方、トーンカーブは苦手だ!という人は、Lightroomのツールパレットから、通常の画像と同じように、露出・ホワイトバランス・コントラスト等々を調整する方法があります。

ただ一点注意してほしいのは、明るさ・色味などの調整作業において、全てがスライダーの方向と逆に働くことです。露出を上げると暗くなり、色温度を下げると高くなる。慣れるまで暫く変な感じがします。

頑張って慣れて下さい!慣れれば普段のRAW現像と同じように編集できるので簡単ですよ。

実際の写真

では実際の写真を何枚か載せてみます。明るさ・色味と解像度を観てもらいたいと思います。まずは色から。

明るさ・色の違い

まずは例に出した写真で比べてみます。

キタムラ。

エプソンGT-X830

自家スキャン

この写真は満月を撮ろうと思って露出少し下げ気味で撮ったんですが、キタムラスキャンだと桟橋に露出合っているため月が消えかけています。恐らく自動補正が働いていると思われます。
明るさ的には自家スキャンがイメージしたものに近いです。

続いて夕日。

キタムラ

エプソン

自家スキャン

例に使っておきながら アレなんですが、これはキタムラの方が綺麗だと思いました。ちょっとフィルム感が失われてデジタルっぽい色になっちゃってます。
作業をしているうちに、「もっと、もっと!」になるのはデジタルのRAW現像と同じだと思います。反省。

続いてカラフルな香水の瓶。

キタムラ

エプソン

自家スキャン

これはキタムラも自家スキャンもほぼほぼ同じくらいでしょうか。

最後にマクロで撮った彼岸花。

キタムラ

エプソン

自家スキャン

エプソンのものはイメージに近づけるため、Lightroomでゴリゴリに弄ってみました。もはやフィルム関係ない。
これもアンダー設定で撮ったんですが、キタムラのものは明るめに補正されているのが分かりますね。

解像感を見る

続いて、この写真の右上の街灯を等倍に切り出して比べてみます。

キタムラ

エプソン

自家スキャン

まず解像度(ここでは分かりやすく画素数に換算して表記します)で言うと、キタムラは約120万画素、エプソンは約2700万画素、自家スキャンは2300万画素相当のデータになります。
なので等倍に拡大してもキタムラのデータはあまり大きくなりません。

エプソンは設定でかなり高解像にしているのですが、実際スキャナーのレンズ性能がそれに達していません。ですので等倍で見るとボヤボヤです。

自家スキャンはその点は流石で、マクロレンズの描写性能の高さをうかがい知ることが出来ました。少し大きめに印刷する場合は圧倒的に自家スキャンが有利です。

まとめ

以上の比較結果をまとめておくと、

  • 明るさはキタムラの場合自動補正が掛かってしまうので自家スキャンの方が良い。
  • 色はキタムラの方が良い場合が多い。綺麗な色を出すには慣れが必要。
  • 解像度は自家スキャンに敵うものなし。でもL版印刷程度ならキタムラでも良いと思う。

という感じですね。

やっぱり色味の問題が一番大きい気がするので、この辺のノウハウが溜まってくればもっと効率よく綺麗な色を出せるようになる気はしています。

まとめ

ということで、以上自家フィルムスキャンの方法でした。

お店にスキャンを頼んだ方が圧倒的に楽ですが、この方法であれば自分の思い描いたイメージを、ネガフィルムの広いラティチュードの中から拾い出すことが出来ます。他人の手ではなく自分の手で出来るのは楽しいもんです。

一方課題というか、気になった点を挙げておくと、

  • ホコリがとにかく乗りやすい
  • 1枚1枚撮影・編集するのが面倒くさい
  • 撮影時にフィルムの平面性を確保するのが難しい

という感じです。

まぁ、編集の面倒臭さに関しては、LightroomでRGB各トーンカーブを反転させたプリセットを作っておけば、もう少しマシになるかと思います。

埃やら平面性やらは、その都度丁寧にやっていくしかないですね。

もう少し課題もありますので、マイナーチェンジを繰り返して少しずつ精度を上げていきたいと思っています。

他、こうすると良いよ、とか、ここのやり方がよく分からない、とかあればぜひコメント蘭でお知らせ下さいね~!

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