今日は衝動買してしまったフィルムカメラEOS-1Nのレビューと、初めてフィルムカメラを使った男の物語です。
EOS-1N
外観
まずはサクッと外観を見てみましょう!
パッと見てまず思ったのは、薄い、テカッとしている、グリップが浅いなどなど。
造りはかなりしっかりしており、剛性感は昨今の中級機より遥かに高いです。
製造から20年以上経った中古品ということもあり、ラバー部分は加水分解が起こって少しベタついていたので清掃しました。
裏面。もちろん液晶モニターなんてありません!
シャッターの手前にあるのが電子ダイヤル、背面にあるのがサブ電子ダイヤル。この辺りは現行機と同じですね。
バリアングルにするとこんな感じ!
じゃなかった、フィルムボックスを開けたところです。ガワは使用感がありましたが、こちらは凄く綺麗でした。
そしてフィルム時代のLレンズ、EF135mmを付けてみました。1996年当時、この機材の組み合わせで撮られたポートレートが雑誌の表紙を飾っていたかもしれません。
ぶちカッコいい…。
実際に使ってみる
僕はフィルム一眼を使うのが初めてなので、細かく使用方法を書いていきます。きっと経験者の方にとっては「何を今更…」という感じだと思いますが暖かく見守って下さいw
電池を入れる
まずバッテリーですが、充電式ではなく市販の2CR5という使い捨てのものになります。ホームセンターで買ったら1個1,300円しておったまげましたが、Amazonだったら800円以下でした。説明書には電池一本で75ショットと書いてましたが、実際に使ってみると150ショット以上使えました。多分昔より電池の性能がアップしてるんだと思います。
訂正
コメントで教えていただきましたが、75ショットではなくフィルム75本分でした!
24枚フィルムで75本分、36枚フィルムで50本なので、1,800枚ほど撮れるようです!
僕は電源ONで放置しすぎてたか何かで電池が早く空になっちゃったようですw
電池のセット自体は簡単で、本体底面のネジをコインで開け、蓋っぽいのを外すと電池を入れる場所があるんで、そこに入れます。
フィルム装填
SDもCFも入れるところがないので仕方ありません、フィルムを買ってきて装填します。今回はISO感度100と400の36枚撮りのネガフィルムを買いました。
フィルムを引っ張り出して、右の歯車っぽい部分にフィルムの穴を引っ掛け、蓋を締めると自動的にウィーンとなってセットされます。
フィルムだと「36枚なんて使いきれるかな?」という感覚になるんで不思議です。
デジタルだったら同じような写真ばっかり、30分と経たないうちに撮りきってしまうんですけどね。
因みに使ったのはこちらのフィルム。フジカラーのISO400の一般的なやつです。
あとは普通に撮るだけ
ここまで準備できたらあとはデジイチと何ら変わりありません。
電源を入れ、撮影モードを選び(僕はだいたいAvモードかMモード。)、ピントを合わせ、撮るだけ!
もちろん親指AFも設定できます。
因みに測距点の数は5点だけですが、ONE SHOTとAIサーボの両方で撮影できます。
更に最近のSTMレンズもちゃんと動いたし、手ブレ補正機能もちゃんと動作していました。
あとシャッター音がめちゃくちゃカッコいいんだけど録り忘れちゃったので、いつかアップします。
実際に撮った写真
それでは実際に撮った写真です!
全てISO400の富士フィルムで撮影し、カメラのキタムラでデータ化してもらったものです。1枚200万画素相当のJPEGデータにしてCDに入れてくれます。
クリックすると大きく画質の良い写真が表示されるので、ぜひ大きくしてご覧ください。
逆光気味のスイセン。EF135mm。
ISO400のフィルムなので、開放で撮るとすぐ露出オーバーになってしまいます。
空模様。EF100-400mm。
デジタルに比べると、黒は割りとベタッと潰れる印象を受けたんですけどどうでしょう。スキャンの問題かな。
白ワイン。EF24-70mm。
これはちょっとローキー気味に撮った写真で、暗部に独特の青味が出ていますね。
暗部の特有の色乗りは多分「相反則不軌」によるものと思われます。よく分からんけど多分。
どっかの路地。EF24-70mm。
ホワイトバランスがデジカメでいうところの「太陽光」に近いので、日の当たらない場所で撮った写真は青っぽくなります。
多分デジカメだったら撮った瞬間「青っぽいな」と思って設定変えるんでしょうけど、現像されてから見るフィルム写真はそれを感じません。
このへんの感覚もフィルムならではで新鮮です。
知人の作った器。EF24-70mm。
こちらも暗部にフィルムらしい色が出ています。
桜の樹。EF135mm。
左に写ってる車、本当に古い車なのか、フィルムで撮ったから古く見えるのか…?
メジロ。EF100-400mm。
デジタルなら適当に連写すれば良いんですけど、フィルムだとそうはいかないのでドキドキです。
そして今回のベストショット!知り合いの子どもですが、とても良い笑顔で写ってくれました!EF24-70mm。
たった36枚撮影しただけですが、現像されてきた画を見るとひと目で「フィルム写真だ」と分かる独特の雰囲気の良さを感じました。
多分暗部の色味だとかコントラストだとかシャープネスだとか色んな要因があると思うんですけど、その完成形がめちゃくちゃ綺麗で、今でも廃れずに残っている理由がよく分かりました。
この雰囲気・画質の裏には何十年にも渡るフィルムメーカの努力が隠されてるんだと思うとちょっとした感動すら覚えてしまいます。
感想
楽しい!
というわけで、フィルムカメラEOS-1Nで撮った写真でした。いや~とにかく楽しいですね!
まずフィーリングの話になっちゃいますが、シャッター音がめちゃくちゃ気持ちいいんですよねw
最近のデジイチにはない音なんで、どこで撮っててもおじさん方の視線を浴びることは間違いありません!w
それと撮り方の話ですが、やっぱり撮れる枚数が限られているということが僕の中で凄く大きいと感じました。
「せっかくなら36枚違う写真にしよう」とか「色んなレンズを使って撮ろう」とか、そういう普段考えないようなことを考えながら工夫して撮る。
こういう楽しみ方って何年かカメラをやってると時々忘れてしまうので、それを再確認できて良かったです。
デジタル時代に光るアナログの魅力、再発見です。
フィルム、デジタル、それぞれの良さ。
という感じで今回はフィルムカメラを初めて使ってその良さに驚いたわけですけど、じゃ今後フィルムカメラだけでやっていくかというと、そうはならないと思います。
フィルムにはフィルムにしか出せない魅力があるように、デジタルにも魅力を感じます。
ピントがピシっと決まった時の快感や、デジタル独特の空気感なんかも僕はやっぱり好きなんです。そして何より利便性が全然違いますよね。
そういうデジタルならではの魅力に改めて気づけたのも、今回1Nを買って良かった点かもしれません。
せっかく両方を手に入れたので、今後はそれぞれの長所(使う人によって違うと思うし、僕もまだまだ理解できていない…w)を活かしながら、両方使って沢山写真を撮っていこうと思っています(^^)
またフィルムで撮ったらこのブログに載せようと思うので、興味があればまた覗いてやって下さいね~♪
使い方:メモ
ここからは使い方のメモ書きなので「1N買ったけど使い方分からねぇよ!」って人だけお読み下さいw
僕自身英語の取説をダウンロードして少しずつ読み進めているので、備忘録がてらメモしていきます。
メインスイッチ
カメラ下部のスイッチがメインスイッチになって、電源のON/OFFを切り替えます。
- ・))):Aと同じだが、ワンショットでピントが合った時に音が鳴る。
- A:カメラを操作するときはここ。
- L:電源を完全に切る時に使用。
モードの変更
撮影モード(AvだのMだの)やAFモードを変える時は、左肩のボタンを押しながら、メインダイヤルを回す。
他にも諸々の変更はこの「押しながらメインダイヤルを回す」が基本形のようです。
フィルムのセット
カメラ左横の○ボタンを押しながら、レバーを下にスライドさせて裏のカバーを開けます。
そんでフィルムの出っ張りが有る方が下、平らな方が上になるようにセット。フィルムをオレンジのマークのところまで丁寧に引っ張る。(このときシャッター膜に触れないように注意!)
フィルムの先とオレンジのマークが並び、フィルムのパーフォレーションがスプロケットと噛み合っていることを確認したら蓋をしっかり閉めます。(フィルムの先端がオレンジ線を越えないように注意)
自動的に巻き上がって、パネルに「1」と表示されます。
ISO感度設定について
基本的にはフィルムをセットしたらカメラが勝手に判断してくれます。
現在セットされているフィルムのISOを確認するには、AFモードボタンと測光モードボタンを同時に押せばOK。
フィルムが終わったら
フィルムは自動的に巻き戻されるます。(使用中のフィルムを巻き戻すには、本体下のフィルム巻き戻しボタンを押す。)
巻き戻ったらフィルムボックスを開けてそのまま取り出せばOKです。
露出補正(Avモードなどでの露出調整)
クイックコントロールダイヤルスイッチ(本体背面の中央にあるレバースイッチ)をIにする。
被写体にピントを合わせて露出を合わせたあと、クイックコントロールダイヤルを回して露出を変更する。
クイックコントロールダイヤルは、シャッターボタンを半押ししたとき、または6秒タイマーが作動しているときにのみ有効。(露出決定後スイッチを0にすれば、変更した露出をロックできる)
ドライブモード変更
フィルム巻き上げモード(昨今のデジカメの「ドライブモード」の設定。連射など)を変更する場合は右のパームドアを開け、ドライブボタンを押してからサブダイヤルを回す。シャッターボタン半押しするか6秒経つと設定が完了する。
因みに上から、「カスタムファンクション」、「バッテリーチェック」、「ドライブ」、「クリア」ボタン。
セルフタイマーの使用
パームドアを開けて、DRIVEを押す。
液晶に何か表示されるはずなので、メインダイヤルを回して2秒か10秒かを選ぶ。(この操作はDRIVEボタンを押して離した後、6秒以内に行う)
カスタムファンクション
更に細かい設定変更はカスタムファンクションから行います。CF押しながらダイヤル回してF-○を選び、その状態でCFボタンを数回押して選ぶ。
- F-1:自動フィルム巻き戻しの操作(0:自動高速、1:手動高速、2:自動静音、3:手動静音)
- F-2:フィルムを巻き戻す時、0:完全に巻き戻すか、1:ベロをパトローネの外に残すか
- F-3:ISOをフィルムから0:自動で読み取るか、1:任意に設定するか
- F-4:*にAF-ONを設定するかどうか。1:親指AFを可能にする
- F-5:Mモード時、2つのダイヤルにSSと絞りのどちらを割り振るか
- F-6:EVのステップを決める。0:1/3ステップ、1:1ステップ、2:1/2ステップ
- F-7:電子リングAFのレンズを使ったときのなんちゃら
- F-8:中央加重平均メータリング
- F-9:ブラケット撮影時の撮影順(0&1:-0+、2&3:0-+ ※0&2:電源切ったりしたらブラケットが解除、1&3:解除されない)
- F-10:ファインダー内AFポイントの点灯について(0:点灯、1:消灯)
- F-11:フォーカスポイントを動かす際の操作方法
- F-12:ミラーアップ(0:通常、1:ミラーアップ)
- F-13:AFポイントでのスポット測光(0:中央で測光、1:AFポイント付近で測光)
- F-14:フィルインフラッシュのコントロール
慣れない英語で一生懸命解読しているので、なんか間違いがあったらごめんなさい。
追記
コメントにて「1Nジャンキー」さんより教えていただきました。
1Nはミラーが固着して「bcエラー」が発生してしまう不具合が出やすいのですが、これを防ぐ手段として、定期的にカスタムファンクションF12よりミラーアップを行うことが有効だそうです。
確かにミラーアップであればフィルムが装填されていてもミラーを動かすことが出来ますから良い解決策ですね!
1Nジャンキーさん、情報ありがとうございます!
コメント
こんにちは。
私も亡くなった父の形見のAE-1を持っております。
ちゃんと動きますが、撮れるかどうかは分かりません…(苦笑)
フィルムは撮る時に緊張して撮ってました(笑)
あんじゅうさんこんにちは!コメントありがとうございますm(_ _)m
AE-1、調べてみました!めちゃくちゃカッコいいですねー!
形見ともなれば尚更思い入れも深いかもしれませんね。
僕はちゃんとしたフィルムカメラでの撮影は初めてでしたが、ここまで雰囲気や楽しさを感じられるとは思ってませんでした。
仰る通りフィルムは緊張感はあり、そしてそれが心地よく感じられるのも嬉しいポイントでした。
またちょくちょくトライしようと思っています♪
祖父の形見の1Nを使い始めた身として興味深く読ませてもらいました。
自分の場合、フィルムに嵌ってしまいなんとデジタルのボディはすべて売却してしまいました。
それほどフィルムは新鮮で素晴らしいものでした。
あと電池についてですが、説明書の75という数字は75枚ではなくフィルム75本という意味ですよ。
なので忘れた頃に電池交換くらいですね。
UMBER 001さん、コメントありがとうございます!
フィルム良いですよね。
僕も最近は、以前ならデジタルカメラを持って行ってたような状況でも、フィルムカメラだけで行くようになってきました。
とても魅力的です。
75の件、仰る通りですね!改めて取説を読むと「75 roll」という記載がありました。
それを踏まえて考えると僕のバッテリーが早々に切れたのは、AFを使いすぎたか、気づかぬうちに電源を入れたまま放置していたか、もしくは人に貸していた際電源を切り忘れていたか、そんな感じだと思いますw
ありがとうございますm(_ _)m
本文を訂正しておきます!
去年10月頃に、EOS-1Nを中古で購入して、
主に空と雲を題材にした風景を撮っています。
取説を入手するまで、貴方の記事が大変参考になりました。
『シャッターの音がメチャクチャ気持ちいい!』は、とても共感できます。
写真の出来栄えは、もちろん大切ですが、EOS-1Nは操作する楽しさも存分に味わえる、
素晴らしいカメラだと実感しています。
機能的にも現代の感覚で不便に感じることもなく、
さすがフラッグシップ機と思わせるものがありますね。
追記:長期間使わないでいると、ミラーユニットの機構が固着して、
電池が新品でも『bcエラー』の状態になり、
シャッターをきることができなくなる持病が、EOS-1Nにはあります。
カスタムファンクションF-12で、ミラーアップを定期的に行うことで、
フィルム装填の状態でも機構を動作させることができ、
トラブル防止に効果があります。
(私の個体は持病持ちですが、上記の対策で再発を防げています)。
1Nジャンキーさんこんにちは!コメントありがとうございます!
本当に、シャッターが気持ちいいカメラですよね。
デジタルに比べ一枚一枚を大切に撮る分、余計にそれを感じるのかも知れません。
作りもしっかりしていますし、本当にメカとしても官能的でステキなカメラだと思います。
追記の件、ありがとうございますm(_ _)m
bcエラーの件、なるほどミラーアップで防げるのですね。
確かにフィルムを装填した状態ではミラーアップ出来ませんから、カスタムファンクションでミラーアップするのは非常に良いアイディアですね。
ありがとうございます、本文に追記させていただきます!
こんにちは。
自分も1N使いでした。
1Vも考えたのですが、測距方式が45点でピンポイント測距と言うよりもエリア測距になってしまっていて、測距点選択が大変になってしまっていたので、あえて1Vはパスしています。
デジタルになってしばらく使わなかったのですが、先日「久々にフィルム使ってみるか!」と思って電池を入れたら・・・
N1ジャンキーさんが仰っていた症状が・・・
で、ネットで調べたら、簡単に直るんですね。
前カバー外して、マウントから見て10時の方向に半透明カバーを被った電磁石が有って、ドライバー等でコンコン叩いたら動き出しました。
ただし短い時間で再発するので、半透明カバーをグリグリやっていると、再発しない位置が見つかったため、カバーをその位置で固定されるように瞬間接着剤で固定したところ、快調に常時動作するようになりました。
味を占めて、つい先日もヤフオクで同症状の個体を安く落札し、到着後30分で修理しました。
ただし、半透明カバーを動かして常時動作する方向は個体によって違うみたいで、今回の個体は最初の物と全く逆方向でした。
でも、これで1Nが2台体制になってしまいました。
ミラーの無い1N RSだとこの症状出ないみたいですね。
シャッター音は確かに官能的ですね。
いかにもシャッターが動作している歯切れの良いサウンドです。
ちなみに、初代機が1N HSだった関係でパワーブースターE1を所持しています。
ブースター付けて高速連写すると、もっと官能的サウンドになりますよ。36枚撮りフィルムが6秒で無くなりますけど(笑)
ウイークポイントはありますが、多くのプロカメラマンやハイアマチュアが愛用した素晴らしいカメラだと思います。
大事に使っていきますよ。
日陰坂45さん、コメントありがとうございます!
なるほど、1nの持病は直せるんですね。
この問題は本当に多くの方々が泣かされてきたと思うので、多くの方が救われる情報だと思います。
僕の回りでも同じカメラを使っていてこの問題が発生している人がいるので、教えてあげますね。
シャッターは本当に良い音ですよね。
「撮ってる」と実感できる音です。
当時のフラッグシップカメラを今こうしてお安く楽しめるのは本当にラッキーだと思います。
私も大切に使っていこうと思います!
こんにちは。
親父が亡くなった後、生前使っていたカメラをだいぶ処分しました。5Dmark2等デジタル系のものは軒並み処分したのですが、1-Vだけは捨てられず、形見として残してあります。
たまにコンディションチェックのため動かしますが、あのシャッター音は明らかに他とは違う剛性感があり、さすがプロの機材だと思わせてくれます。
親父がeos-1→1N→1-Vと1系を使い続けていた理由がシャッター音を聞いていると分かる気がしました。
○ほ○さん、コメントありがとうございます。
仰る通り、デジタルのカメラとフィルムの1シリーズ。
使ってみるとその違いが顕著なんですよね。
使ってて気持ちいい、持つ喜びや官能感のようなものが1シリーズにはあると思います。
コンディションチェックまでされているようで、お父様の形見のカメラも幸せだと思います。
ぜひ大切にしてあげてくださいね。