キヤノンの単焦点レンズ、「RF35mm F1.8 MACRO IS STM」を購入しました。
これはRFレンズ群のなかでも最初期に発売されたレンズですが、小型軽量なのに明るくて、被写体に寄れて、しかも手ブレ補正が付いているという、まさにかゆいところに手の届く一本。お散歩レンズとして「気軽に持ち出したくなる」レンズです。
仕様

最初に仕様です。
| 最大経×長さ 質量 | 約φ74.4×62.8mm 約305g |
| 絞り | 9枚円形 |
| 最短撮影距離 | 0.17m |
| 最大撮影倍率 | 0.5 |
| フィルター経 | 52mm |
| 手ブレ補正 | 5段分 |
「少し小さめの単焦点」って感じなんですけど、9枚円形絞りだったり5段分の手ブレ補正が入っていたりと、かなりしっかりとした作りになっていますね。
それと、MACROの名の通り、17cmまで寄れることができます。料理の写真を撮るときでも座ったまま撮ることが出来るのが非常に良い!
サイズ感ですが、重量は305gと非常に軽量です。でも長さは62.8mmでパンケーキレンズほど小型ではありません。おそらく手ブレ補正が入っている分、長さが出ているのでしょう。レンズそのものは小さく感じるけど、カメラにつけるとそれなりの長さは感じますね。
F値は1.8で、単焦点レンズならではの明るさです。大きく背景をボカした写真を撮ることができます。
外観
それでは外観を見ていきましょう。コンパクトで至ってシンプルな単焦点レンズです。全体的にプラスチックを多用した鏡筒ですが、軽いんで全然問題ありません。

F1.8と明るいレンズですが、焦点距離が短いせいか、前玉はあまり大きくありません。なお、電源を切ると自動で絞りが閉じる機構になっています。これはレンズキャップをしていないときにセンサーに当たる光を減らしてセンサーを守るためだと思います。

上からコントロールリングとピントリングがあります。
他操作系としては、AT/MT、手ブレ補正のON/OFFスイッチがあります。

フードは別売りですが、薄型タイプです。キヤノンだとEF40mmパンケーキレンズなどもこのタイプですね。

小さいので当然フードを付けてもほとんど分かりません。

マウント部分は金属製。重量的にはプラマウントでも良いんでしょうけど、プラマウントって使ってたらだんだん削れてきて心理的に嫌なので、やっぱり金属が嬉しいですね。

R5 Mark IIに取り付けたところです。軽量ではありますが、長さはそこそこあるので思ったほどコンパクトではありません。

でも見た目のバランスはとても良くて気に入っています。一眼カメラ特有の威圧感が少ないのも良いですね。
作例
それでは実際に撮ってみての作例です。
通常の単焦点としての作例
まずは、普通の単焦点レンズとして使ってみた作例です。飛行機の窓から撮った景色。レンズが軽いので、持ち出しやすく、気になったシーンでサッと撮れるのが良いです。

次はインドネシアに行ったときの写真。逆光がキレイだったので急いで撮りました。絞りはf/2ですが、ピントが合った部分はとてもしっかり描写されています。(逆光の描写については後述)

続いて絞った写真。当然キッチリ写ります。

手持ちスローシャッター。よくあるブラしたやつをやりたかったので、F8まで絞って1/3秒で撮ってみました。ボディ内手ブレ補正と強調制御するので、しっかり構えればまったくブレませんでした。

ただ、適当にサササっと撮った場合は、逆にSSが速くても簡単にブレてしまうので、やっぱり丁寧に撮ることが大切だと思いますね。
続いてマクロ域の作例です。ハーフマクロなので、等倍ではなく1/2倍です。なので「被写体を大きく撮れる」というよりは、「被写体に寄って撮れる」という印象の方が強いですね。

感想
それでは感想です。
画質はとても良い

画質は、一部の欠点を除き、とても良いです。このレンズは性質上、スナップや旅のお供に使われることが多いと思うんですが、そういう場面想定では十分すぎる性能があると思います。
一応、F1.8の開放だとちょっと不安な感じもあるんですが、1/3段絞ってF2.0で撮るだけで十分な画質になるので、かなり明るい単焦点として使うことが出来ます。
特に寄って撮れるしボケ量も多いので、この1本があればかなり多くのシーンが撮影対象になると思います。
逆光に弱い
ただし、弱点もいくつかあります。まずは逆光の弱さ。Lレンズに比べるとフレアやゴーストが出やすいように感じます。
光源の影響が強く出るとこんな感じになります。

太陽付近のフレアと画面左下のゴーストが特に目立ちますよね。
スナップって逆光で撮ることが多いと思うので、光源の位置や入れ方に制約が出来てしまうのはちょっと残念だなぁと思いました。
レンズの歪曲収差が大きい
それからこれはRFレンズ全般の設計思想にも関係してくる話かもしれませんが、歪曲収差が大きいです。最初、「35mmの画角にしてはパースが付いて使いにくいなぁ」と思ってたんですが、補正をONにすると一気に印象が変わりました。
比較です。(補正あり←→補正なし)
このレンズは単焦点レンズにしては樽型歪曲が残っています。これはキヤノンがRFレンズについて、「ミラーレスはファインダー像にも電子補正が効くから歪曲収差を深追いしない」という考え方なのがその理由みたいです。
ただ、35mmって標準レンズに比べるとパースが付きやすいので、そのパースが強調される樽型歪曲は、このレンズの扱いを難しくしたり、あるいは描写を安っぽくしてしまうような気がします。
というわけでデジタル補正をONにして使っていますが、出来れば補正なしでも歪曲が少なければ良かったなぁと思っています。
ボディ内手ブレ補正が必要かどうかでサイズの評価は変わる

最後にこのレンズの売りである「持ち出しやすさ」ですが、軽量な一方、全長が6cm以上あります。レンズが長いと、カバンなどに収納した際に結構かさばるんですよね。パンケーキレンズほどは無理にしても、もう少し短かったら個人的には最高なレンズだったように思います。
じゃなぜ6cmになっているかというと、おそらく手ブレ補正機能があるから。これを省けばもっと短く出来たんだと思います。
そういう意味では、手ブレ補正をあまり必要としてない人(あるいはボディ内手ブレ補正がある機種を使う人)と、手ブレ補正がほしい人では評価が変わってくるレンズかなぁと思っています。中には「手ブレ補正ユニットを省いてもっと短くしてもらいたかった」と思う人もいるかも知れません。
ただ、そうであったとしてもコンパクトな部類に入るのは間違いないし、サイズが問題になるのはカバンに収納するときだけのことですから、トータルではこのパッケージが正解なんでしょうね。実際使いやすいしね。
最初の一本にオススメ
そんなわけで、僕自身R5 Mark IIの最初の一本として、普段からほぼ付けっぱなしで使っています。
それほど安いレンズでは無いですが、明るさと画質を考えるとめちゃくちゃコストパフォーマスが高く、使いやすい一本だと思いますよ!





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